偽随筆 ・ ゴミに見えても・・・









スピッツ / アカネ】



今回は内容と一致しましたね♪















いつ頃からだったか、一羽のカラスがお向かいの家の屋根で、毎朝大きな声で鳴いていました。口にはいつも木の枝をくわえたり足で抑えていたりしています。
それは誇らしげにしているようにも見えました。
巣作りするわけでもなく、いつも枝ひとつを持っているんですよね。その枝は毎回同じモノなのかどうかはわからないのですが、わたしには同じ枝に見えました。特に特徴があるわけでもなく普通の木の枝なんですけど・・・。


ある日、けたたましくカラスが争う声が聞こえました。
あのいつものカラスが別のカラスと激しくケンカしていたんですよね。それはもう通る人も「何事か!」と見上げるくらいに派手に。
それは、まるであの枝をめぐって争っているようにも見えました。
結局、たぶんいつものカラスの方が枝を守りきった感じで、もう一羽はどこかへ飛んで行ったのかいませんでした。
残されたカラスはいつもの枝を足で抑えつけていましたが、相当な痛手を負ってしまったようで、翼が片方閉じることができず、屋根に乗っているのもやっとという感じでヨロヨロしていました。


出勤時間でもあったし、あの後カラスがどうなったのかはわかりません。
でも、あの日以来カラスの姿を見かけることはなくなりました。
・・・・・・・。たぶん、あの時の怪我が元で死んでしまったように思います。。。


何の変哲もない枝きれ一本で命を賭けてまで争うようなことだったのでしょうか?
わたしには理解できません。だけど、きっとそれほどのものだったのでしょう。


人だって同じようなものです。
どうしてそんなモノの固執するのか傍目には理解できなくとも、当人にとってはものすごく大切なものだったりするのはよくあることです。
たとえ何十万、何百万もする壺や掛軸でも、興味のない人にはガラクタでしかありません。価値があるのなら、売ってお金にしてしまいます。
価値観やこだわりなんて、その人にしかわからないものだってたくさんあるものだと思います。
ゴミのようなものでも・・・。


みんなゴミを守るために必死になっているのかもしれません。
逆に言ってみれば、自分が一生懸命守っているものをよく見たらゴミなのかもしれないのです・・・。
「ゴミに見えても 捨てられずに」