偽随筆 ・ 彼



















アルフィー / 過ぎ去りし日々】



エコーかかり過ぎでは・・・?あんましうまく歌えていませんし。
あと、重要なのは2番のサビでの「あ〜あ〜 青春の激しい 情熱も消えて」の後に「ふふんふ〜ん♪」って入らないのは ( ̄、 ̄*) スッゴク、モノタリナイ!
つまりは、わたしがこの曲を初めて聴いた、1stアルバムバージョンが最高です、ってこと・・・ (^ω^;)


今回、動画画像の真ん中にいる人にそっくりな方のお話です。(似ていることに、最近気づきました)


















27の頃、彼は焦っていました。生まれて27年、彼女ができないということに。
合コンとかもしていたようですが、そういう場に来るコは、なんか「遊んでいる」ようなコだったり、いいコが来ても「自分じゃ不釣り合い」だと、告白する前から諦めていたそうです。
友達に「じゃ、どんな女の子がいいんだ?」と聞かれ、「地味でおとなしい感じ」と答えましたが、「そんなコが合コンに来るか!」とお説教されたそうで。
同時に、職場でそんな感じの方がいたそうですが、どうも相手にされていないと、傷つく前に引いたそうです。職場では、慎重にもなります。


28の頃、一気に事が動きました。
合コン仲間の女の子から「ウチのお姉ちゃんは暗いよ」と聞いて、是非今度呼んできて!と頼みました。
その女の子は、男子グループで一番カッコイイ男性に紹介するつもりで姉を連れてきました。姉の彼女は22。ついその前、お見合いをして、全くお話が盛り上がらず、断ったところに舞い込んできた話。とりあえず、合コンは初めてだけど、妹と一緒なら・・・、と来たそうです。
彼は一目で姉の彼女を気に入り、彼女もおススメ男子より彼を好きになったようでした。


彼はデートに誘うなんて勇気もなく、友達と一緒に2対1で誘ったりしましたが、何度目かに「今度は二人で会ってもらえますか?」と思い切って聞いたら「実は、そう言われるのを待っていました」と・・・。
こうなれば急接近です。あっという間にお付き合いが始まりました。
彼女の父親は厳格で「養子しか認めない!もっとも、自分で相手を探せるなら勝手にすればいいが」と、彼女の奥手さをナメていたようですが、彼とは自分が出会った相手、お見合い相手ではありません。彼も養子は不可が条件でした。
状況としては二人が結ばれることに問題はないように思います。


ここに来て、以前職場で気になっていたというコが、彼に積極的にアプローチしてきます。どうも、彼女ができたから「時効」ということで、同じ職場の女子社員がバラしたようでした。
でも、彼は付き合い始めたばかりで、真面目な性格から二股なんてかけず、職場のコは諦める形になりました。
そうして、そのコは彼氏ができないことを悲観してか統一教会に入信、見知らぬ韓国人と結婚するため韓国へと渡り、その後を知る人は誰もいなくなりました・・・。25才くらいだったそうです。諦めるには早すぎる年齢ですが、当時は現在よりもずっと早婚だったのでしょう。


さて、彼の方です。
それはそれは夢のような期間だったそうです。相思相愛ですから当たり前でしょう。結婚を前提のお付き合い。
彼女の母親に彼は気に入られ「どうか娘をこの○○家から連れ出してほしい。わたしは人生をこの○○家に捧げて生きてきてしまった。娘には同じ思いをさせたくない」
しかし、父親からは養子以外はお断りということで、門限が夕方5時とか無茶なことを言っては二人を悩ませます。(さすがにその条件には応えられませんでしたが、必ず9時には帰宅させたそうです)


そうして5年の月日が流れましたが、具体的に結婚の話にはならなかったそうです。
やはり、彼女の父親の存在があったからでしょう。いくら母親の方の応援があってもその母親の立場は非常に低いらしく、意見することは許されないのだと考えられます。
そうして、
5年間毎週欠かさず会っていたのに、ある日突然彼女が「しばらく会えない」と言い出したそうです。それまで、家での家内工業のようなお仕事を手伝っていたのですが、平成不況で仕事がなくなり外での仕事を始めたから慣れるまで・・・。そんな理由だったそうです。ひと月後くらいにまた会う約束でしたが、その前に彼女から手紙が届きます。
シャーペンで書かれた、たった4行のお別れ文。
「ここはスルーして、落ち着いた頃に電話しよう。今は無理だ」
そう判断した彼の行動は裏目に。電話した時は「聞いたこともない他人の声」で冷たい言葉を浴びせられて切られてしまいます。
さすがの彼も逆上したそうです、5年間はなんだったんだ!と。
33才になったばかりの秋だったそうです。
(わたしは、彼女は彼と父親の板ばさみで辛く、耐えられなかったのでは?と思うのですが・・・)


彼にはどうしても達成しなければならない目標ができました。彼女より先に結婚すること。意地、なんでしょうね、フラれたことに対しての。職場で一緒だった女性と同じ行動ですよ。
お見合い2人目、ちょっと頭の足りない感じの女性と知り合い、不幸話を聞かされて同情だけで愛のない結婚をしてしまいます。
元カノの母親の方が自殺したという話を聞いたのもこの頃だったそうです・・・。
彼の従妹がお見合い相手の女性と同級生で、結婚前彼の母親に「あんなコと結婚するの!」とひどく驚いていたそうですが「どうかしたの?」と聞き返されても結婚の邪魔をしてはいけないと思ったのでしょうか、小学生から中学生までの9年間、特殊学級にいたということを黙ってしまったようです。
とにかく知り合ってから結婚まで、相手側がせかすようにどんどん決めてしまって、よく考える間もなく結婚してしまったようです。


「オレはとんでもない間違いをしてしまったのではないだろうか?」と、彼が気づいたのは婚姻届けも出して、一緒に住むアパートでの生活も始まり、新婚旅行の北海道でのことだったそうです・・・。
3年後、36才で鬱病を発病します。「家庭ばかりが原因じゃない、当時は仕事も殺伐として環境悪かったですから」とは言いますが、職場にも家庭でも安らぎがなかったのだと思いました。


現在、50才になる彼は結婚して丸15年になろうとしています。奥さんは・・・バージンだそうです。そういう行為が理解できないようで、彼も奥さんに対してそんな気持ちにはならないそうです。
友達から離婚を勧められても、「犬猫だって捨てちゃいけない、ましてや人間だ。ありゃ、オレが捨てたらホームレスになっちまう」としか言えないみたい。
奥さんとしての家事はほとんどできず、ホラーマンガやDVDばかりを観たり、一日中ゲームしてコンピューター相手に本気でキレて怒鳴っていたり。
「朝から悪口、一日中悪口。束縛もパネエ。オレが意見通そうとするとキレる」そうです。彼は奥さんを「怖い人」と呼びました。
一方、別れた彼女はその後恋人もできず、今でも一人だということを耳にするそうです・・・。彼女の妹の方はとっくに結婚して家を捨てましたが。
結局、彼女は父親に逆らえず、○○家と結婚したように感じました。


もし、彼が5年間付き合った彼女と知り合わず、職場の女性と付き合っていたのなら?
もし、結婚前に従妹が奥さんの「正体」を告げていたら「そういう方は自分では荷が重いです」と断ることができた?










土曜出勤、予定より早くお仕事が終わって、午前中に帰ることができたある日、彼から「よかったらお昼、一緒にどうですか?」というお誘いにわたしは飛びつきました。そして、聞いたお話。
「こんなところを嫁に見られたら、ぶち殺されますが『復讐』ですよ、ぼくなりの」
彼はそう言い、ため息をつきました。
窓際のテーブルに、午後の陽射し。食後のミルクティーの湯気。外を行き交う車の音。
わたしは、
「神様なんていないです。いても人間が嫌いなんです」
わたしがこれまでここで語ってきた「無神論」を話しました。
彼はなんとも言えない笑顔で「の○○さんはぼくよりずっと大人で立派な人間ですね」と言いました。「幸せにならないといけない人です」なんて、余計な心配・・・。


ずっと謎だったことが全て明らかになった時、わたしはかける言葉を失っていました。