2010-01-01から1年間の記事一覧

悪魔が来たりて

23時59分55秒。 ぼくは合わせ鏡の片方を倒した。 「…バッカみたい」 合わせ鏡が0時に悪魔を召喚するという俗説はよく聞くものだが、一体どれだけの者が実際に試したことだろう。 現実的でなく、もし仮に悪魔がやって来たところで何をされるかわかった…

願い事ひとつだけ

「あー、しんど」 目の前に見たこともないオヤジが現われ、座り込んだかと思ったらその場に寝転がった。 「おい…、おっさん」 「なんや?」 「…何者だよ?」 「ワシかい。妖精っちゅうやっちゃな、お前らの言うところの」 まぁ、確かに身の丈は指ほどの大き…

落日の坂道

平成××年3月28日。左右田(旧姓)文恵が死んだ。 一本の電話によって、私はその事実を知らされた。 北村上小学校、昭和××年同期卒業生。私と文恵の繋がりといえばそれだけにすぎない。 小学校を卒業して以来、30年近くの時が経っていた。 それにもかか…

子供刑事 中原君 3

上田商業高校前交番 「そっかー、やっぱり面白いよねぇー」 「いやぁ、さすが中原さんですね、ぼくのツボをおさえてますよ。えっへへへ」 中原と交番勤務の宮里が談笑を交わし合っている横で安田は大あくびをしていた。 「掘り出し物ですよ、このアニメは」 …

子供刑事 中原君 2

*作中に「よつばと!」(あずまきよひこ著)のセリフを拝借しています。 「えびふりゃーでしょー、手羽先とー、あとひまつぶし」 安田の顔はヒクついていた。 「ひつまぶし、ね…」 このところ聞き込みに回ることが多く、ロクなものを食べていない。 中原は…

子供刑事 中原君 1

中原と安田の二人の刑事が旅館に到着したのはちょうど0時頃であった。 「こちらです。現場に連れ合いの三人も待機しています」 最寄りの交番から先に駆けつけていた警官に案内された。 「あ〜、これはどうもねぇ。…雪はやんでるね」 車から降りると中原は雪…

いっしょに帰ろう

「でさぁ、なんかソイツがしつこいワケ。下心丸出しーって感じで」 由梨絵の話を和美はすでにうわの空で聞いているようだった。 わたしも少し辟易してきたところだ。 下校時に聞かされる由梨絵の話も、最近すっかりパターン化が進んできた。 「まぁ、なんか…

ニコラスは誰?

―12月25日― クリスマスの夜、栞がまた体調を崩した。 知り合ってちょうど一年目の今日、ぼくのアパートで二人だけのささやかなパーティーを開くはずだった。 バイトを早々にきりあげアパートへ帰ると、先に来ていた栞が寝ていた。昼から具合が悪かったら…

黒い煙

ひどく気が進まない葬儀の参列だった。 彩乃の祖父、源一が脳溢血で他界したのは4日前の事だ。 幼い頃から彩乃は祖父が苦手であった。特に睨んでいるわけではないのだが、ギョロっとした目で一瞥されただけで竦みあがってしまったものだ。 成長すると共に彩…

オレンジ色の世界

夕暮れ。 わたしは「100円切符」というものを手にして、電車のホームにいます。 100円で目的の駅まで行けるのだけど、やって来る電車は全て1両編成なのです。 そして様々な1両電車が通ります。 手を上げてタクシーのように拾うのですが、ホームには…

柏木家の人々

「ワリーワリー!遅刻だ、遅刻!」 三男の敏夫がドタドタと転がるようにやって来た。 「親父、何の用事だって?」 齢82歳になる弥三郎が寝かされる布団を囲むように、すでに二男二女の兄弟が集まっていた。これで三男二女の五人兄弟が揃う。 「敏夫、もっ…

ブレイン・コントロール

某国政府機関の命により、この壮大な発明を手掛けてどれくらいになるのだろう。もちろんその内容は極秘事項であり、目的はぼくでさえ知らされてはいない。 研究員はぼく一人。完全隔離された施設管理下で行われている。 『何の為に?』という目的など知らず…

小夜子のこと

わたしは小夜子が嫌いだった。 キレイで成績もよく、お人よしなくらいに面倒見がいい。なんでも父親は会社の重役らしく、育ちが良さそうなところからから察するに裕福な家庭であるようだ。 クラスの同じ班であり表面上は友達だが、わたしは常に小夜子を意識…

クローバー

クローバー野原の向こうに白い灯台が見えるこの場所はあの頃と変わりのない風を運んできていた。 車を走らせる道中の街並みは知らないうちに綺麗なビルが建てられ、この野原も残されているか心配していたが、取り越し苦労であったようだ。 …ぼくの隣に君はも…

野枯まで (かえでシリーズより)

かえでは軽く舌打ちをした。 『次のバスまで1時間半か…』 肩に降り積もった雪をはらい、待合い小屋の戸を開けた。 今どき珍しい薪ストーブにやかんが焚かれ、湿った蒸気に身を包まれる。 ふと傍らを見るとベンチに少女が一人いた。中学生だろうか、セーラー…

ドアが開くまで (かえでシリーズより)

「こんな店、二度と来てやらない!きぃっ!」 中年婦人が金きり声をあげる。 「…どうしたんだろう」 小学生の少女が不安そうにつぶやく。 「…………………」 女子高生は黙ったまま。 とあるデパートのエレベーターに3人が閉じ込められてから10分ほど経っていた…

君への想い (かえでシリーズより)

初夏。 ローカル線の小さな無人駅。 プラットホームに一人佇んだままの少女。 彼女の視線の先には、電車の姿はもう見えなくなっていた。 あきれるくらいに晴れ上がった空と風はまだ梅雨の気配を感じさせない。乾いた風が田園をそよぐと線路脇のセイタカアワ…

鉄橋下の決闘 (かえでシリーズより)

『またあのコだ』 気がつくといつもかえでを教室の隅から見ている。 ―斉藤みこ― 『クラスの中、いや中1の学年中探したってこんな暗そうなコはいないと思う』 極度なおとなしさがかえって目立つようなタイプだ。 かえではみこの視線を感じるといつも苛立って…

にじができるわけ (かえでシリーズより)

8月29日(水) 晴れ一時雨 いよいよ日記ちょうも2さつ目。これからもいやなことがあっても、ちゃんと書いていきたいと思います。 お昼にものすごい雨がふりました。その後お天気になって空を見たら、とてもキレイなにじがでました。にじはどうしてできる…

華 燐

「ねーねー!昨日のも良かったよ!」 「祥子ってやっぱり色使いが違うよね!」 「そのうち祥子ならあそこのトップページ飾るんじゃないの?」 本庄祥子の回りに朝からクラスメイトが群がった。 祥子はネット界ではそのスジの『素人イラストレーターの総本山…

緑の角

「もう会えないね…」 茅原君恵がつぶやいた。 ぼくは遠くの空に視線を向ける。青空を白い雲がゆっくりと流れてゆく。 「そうか…。明日の昼くらいだっけ?」 「そう。昭ちゃんが学校で授業を受けてる頃、わたし…」 野ざらしになったソファー。手近にあった青…

ユーカリの木

『あれ?真っ白???』 視界が途切れ、瞬間的に浮遊感がした直後、グラウンドの方から身体にぶつかってきたように感じた。 「…ちゃん!大丈……!しっかり…、……!」 途切れがちな呼びかけ声が聞こえると、次第に意識が戻ってきた。 陸上部。練習中に軽い貧血…

ひまわり

16歳になった民夫が母校の小学校を訪れたのは、卒業して以来5年ぶりのことだった。 自宅からたいして遠くない所にある小学校は、その前を通りかかることもあったが、卒業してから門をくぐることは一度もなかった。 夏休みの昼下がり、愛犬の散歩コースを…

(死神・2題)

突然ぼくの前に死神が現れた。 「お前はあと一時間後に死ぬ」 そう告げられ消えた。 ……………………………。 『思い通りになるものか!』 ぼくはどうせ死を待つだけなら、その前に死んでやろうと屋上から飛び降りた。 激しい衝撃。 地面に叩きつけられた体は死んでい…

*** 目次 ***

(死神・2題)・・・・・・・・・・ 5 ひまわり・・・・・・・・・・ 8 ユーカリの木・・・・・・・・・・ 15 緑の角・・・・・・・・・・ 21 華 燐・・・・・・・・・・ 30 にじができるわけ (かえでシリーズより)・・・・・・・・・・ 46 鉄橋下の決闘 …

届いたログ

あるスレッドのログが添付されたメールが届いた 例のスレッドの様子だ 私が想像していた以上に酷い スレッド全体がsophiaの話題で始終していた sophiaをアパートに呼び寄せた 男が一人いるが、ヤツはsophiaを妹のように扱う親しい仲だから問題はないだろう …

雨の降る日曜日

今日は雨降り 窓から見える街並みを 静かに濡らす黒い路上 今日は雨降り 誰も来ない 部屋にはわたし一人 指の隙間から さらさらと こぼれ落ちた青い思い出は 還ることなく 形もなく透き通る みんなみんな雫になって 街並みに煙り 雨を集めた河の流れは ゆっ…

日記 ・ お泊り

ソフィアです (*´▽`)丿 わたしが書くのは一ヶ月ぶりですね。 昨夜からコープランドさんのところにお泊りしています ( ´艸`) 前回の日記レスにも書いたけど、先週も会いました。晩ご飯を外食で食べてる時に「たまには一緒に何かウチで食べようか」という話に…

今後について

ドジsophiaめ… 先ほど「記事を書く」で更新しようとした際に気づいたのだが「下書き一覧」と小さくあり、ここは見た事がなかった 下書きとして残っていたのは1件のみ、今年の元日日記だ 表では「酔っ払い日記だから」と後日ほとんどを削除しているが、なぜ…

自作小説スレッド参加者諸氏へ

M氏よりメッセ 双葉…正確には「ふたば」なのか? よくわからないが、例のスレッドがまた荒れたそうだ 珍しい事ではないらしいが今回はsophiaが原因だと言う…… 「コメントが戻ったとたんにネタにされていたということは、コメントは隠した方がよいのでは?」 …